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クリニックDX失敗事例と対策・現場が混乱する原因と進め方

公開日 2026年10月14日 執筆 RAKUKARADA LLC

タブレットを見ながら業務改善の相談をするクリニックの院長とスタッフ
現場の業務フローから見直す

なぜクリニックのDXは失敗するのか

クリニックのDX失敗は多機能なシステムをいきなり導入し現場の業務フローと衝突することが主な原因です
既存の紙運用との二重手間を防ぐにはトップダウンでの導入を避け特定の課題から小さく始める必要があります

医療業界のシステム開発が高額なのは長い間歴史的な常識とされてきました
しかしその常識は今まさに終わりつつあります
高機能で大掛かりなパッケージを外部から導入するのではなく自院に合った仕組みを少しずつ整えていくことが求められています
ここで重要になるのが内製化という考え方です
内製化とは外部の業者に丸投げせず自院のスタッフが中心となって業務の仕組みを構築し運用することです

最初から全部わかっている人は誰もいません
1つ2つ3つ4つと段階を踏んでいくからこそ「こんなこともできるんだ」という気づきが現場に広がっていきます
いきなり完成形を目指すのではなく目の前にある小さな不便を解消するところから始めるのが失敗を防ぐ第一歩となります

失敗事例から学ぶ現場が混乱する3つの原因

現場が混乱する主な原因は業務の可視化不足とトップダウンでの決定そしてAIやシステムの特性を理解せずにすべての業務を任せようとすることです

ロボットアシスタントと一緒に書類を整理し笑顔を見せる医師と看護師
人とAIが協力する診療現場

多くのクリニックで陥りがちなのが現在の業務フローを整理しないまま新しいツールを入れてしまうケースです
誰がいつどのような手順で動いているのかを把握しないまま導入するとかえって確認作業が増えてしまいます
また既存の紙のカルテや問診票を残したままデジタル入力も求めることで現場に二重手間を強いる事態もよく起こります
新しいシステムを入れる際は古い運用をどこで断ち切るかを同時に決めることが不可欠です

さらにAIを導入する際にも注意すべき点があります
AIは時に嘘をつきできるのに「できない」と言うことがあります
特性を理解して作り込み最後は必ず人が確認する体制を整えなければ現場の信頼を失ってしまいます
すべてを自動化しようとするのではなく人が判断するための材料を揃えるところまでをシステムに任せるのが現実的な運用です

代表の公開プロフィール(2026年9月時点)にもある通りグループのクリニックは2021年4月に東京で開業し緊急事態宣言の最中で患者ゼロから始めました
家賃と人件費の負担から徹底的な内製化と余計なものを省くことを身につけた背景があります
現場の泥臭い運用から生まれた知見こそがシステム導入の失敗を防ぐための土台となります

スモールスタートで始めるDXの手順と判断基準

失敗を防ぐには最初からすべてをシステム化するのではなく予約管理や問診など特定の課題に絞って段階的に導入を進めることが重要です

患者さんの不満が集中しやすい部分から手をつけるのが定石です
厚生労働省の受療行動調査(令和5年)によると病院の外来患者の「予約をした」は79.0%(小病院では68.2%)となっています
一方で同じく厚生労働省の受療行動調査(令和5年)では項目別の満足度で「不満」が最も高いのは「診察までの待ち時間」の25.2%です

厚生労働省の受療行動調査(令和5年)によれば診察等までの待ち時間は「15分未満」27.9%、「15分〜30分未満」24.9%、「30分〜1時間未満」20.6%で1時間未満が約7割を占めています
さらに同調査では1時間以上待った外来患者は合計21.1%(1時間〜1時間30分未満10.1%、1時間30分〜2時間未満4.5%、2時間以上6.5%)に上ることも分かっています

これらの課題に対しては待ち時間を減らす工夫や自院に合った予約システムの選定から小さく始めることを推奨します
以下の表はこの記事で挙げる3つの課題に対する着手手順と確認する指標をまとめたものです

課題 適する打ち手 着手手順 確認する指標
電話の鳴りすぎ 自動応答の導入 よくある質問のリストアップと回答の用意 スタッフが電話対応にかかる時間の変化
問診の転記作業 Web問診の導入 必須項目と任意項目の仕分け 転記ミスの件数と入力にかかる時間
予約の無断キャンセル リマインドの自動化 予約日の前日に案内が届く仕組みの構築 無断キャンセルの発生件数

どこから始めるかを決める際はスタッフが毎日手作業で行っている定型業務を洗い出すことから始めます
誰がいつその作業を行っているかを明確にすることで導入すべきツールと運用ルールが自然と見えてきます

現場の負担を減らすAI活用の具体例

AIを活用した業務効率化は入り口にすぎず定型業務を減らすことでスタッフが患者さんとの会話や診療補助など人にしかできない仕事に集中できる環境を作ります

当社の作業記録(2026年8月時点)によれば院内で作ったときは患者さん向けの説明マニュアルが10〜15分で形になります
情報を先に渡しておけば下書きまで出てくるためゼロから文章を考える手間を省き確認と修正に時間を使うことができます
また当社のサイトの /case/ の掲載数(2026年8月時点)を見ると診療現場と自分たちの事業で動いている仕組みが19件紹介されています
これらは全て自分たちで作って運用しているものです

AIの特性を活かせば喋るだけで文章になる時代です
音声入力したものをAIが整形してくれるため文章を書くのが苦手なスタッフでも現場の知見を簡単に形にできます
医療の世界は外から見ればブラックボックスです
だからこそ中身を発信する価値があります

医療従事者の知識は人を救うための宝物であり求めている人がたくさんいます
発信の形は本(Kindle出版)やコース教材あるいはアプリやWebなど自院に合ったものを自由に選べます
業務効率化の先にある「こんなこともできるんだ」という気づきが仕事のやりがいを高め私生活の時間をも変えていきます
自院でどのような仕組みが作れるかについてはその院で何ができるかを整理するところから始めます

DX推進に向けた院長と事務長の役割

院長と事務長はシステムの選定だけでなく現場のスタッフが新しい仕組みに慣れるための時間と心理的な安全性を確保することが求められます

これからなくなっていくのは統計処理やWeb制作プログラミングなどこれまで「頭がいい」とされてきた領域の仕事です
最後まで残るのは手術や問診そして患者さんとの会話といった人にしかできない仕事です
新しい仕組みを入れる際は現場のスタッフが「自分たちの仕事を奪われるのではないか」と不安に感じないよう丁寧に説明するプロセスが欠かせません

当社の提供条件(2026年8月時点)として初回のご相談はオンラインで60分としています
ここではいきなりツールを提案するのではなく外注費と業務の棚卸しから始めます
何を残し何を自動化するかを院長や事務長と一緒に整理していくことがDXを成功に近づける第一歩となります
現場の声を拾い上げながら少しずつ成功体験を積み重ねていく姿勢が定着の鍵を握ります

よくある質問

DXを進めるために何から手をつければよいですか
まずは現場のスタッフが毎日手作業で行っている定型業務を洗い出すことから始めます
誰がいつ何をしているかを可視化し電話対応や問診の転記など負担の大きい特定の課題に絞って小さく始めるのが定石です
最初から高額で多機能なシステムを入れると現場が混乱する原因になります
高齢のスタッフが多く新しいシステムに馴染めるか不安です
新しい仕組みを入れる際は古い紙の運用と並行させず切り替えのタイミングを明確にすることが重要です
また音声入力など直感的に使えるツールを選び操作の手順を極力減らす工夫をします
スタッフが慣れるまでの時間を確保し心理的な安全性を担保することが院長と事務長の役割です
導入したシステムが現場で使われなくなるのを防ぐにはどうすればよいですか
トップダウンで決めるのではなく導入前の検討段階から現場のスタッフを巻き込むことが大切です
実際の業務フローに沿って使い勝手をテストし不便な点があればその都度改善を重ねます
AIやシステムの特性を理解し最後は必ず人が確認する運用ルールを定めておくことも定着の鍵となります

参考にした一次資料

制度の内容は改正されることがあります ご判断の前に、必ず公式の最新の情報をご確認ください

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桜岡 寿英
桜岡 寿英|RAKUKARADA LLC 代表社員

都内で医療法人の代表をしながら、医療機関のAI導入・内製化を支援しています 同一グループの診療現場を実証の場として、実際に動く仕組みを開発・運用しています

この記事の書き方は 編集方針 に沿っています

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