クリニックのオンライン診療導入と導線設計の具体手順
クリニックがオンライン診療を導入する最初のステップ
クリニックへのオンライン診療の導入は予約から通話と会計そして事後フォローまでの導線を自院の運用に合わせて設計することが成功の鍵となります
外部のパッケージに依存せず患者さんが迷わない動線を院内で構築していくことが重要です
総務省の通信利用動向調査(令和6年8月末)では全国の6歳以上の個人のスマートフォン保有割合は80.5%となっています
さらに同調査において全国の個人(年齢階層別)のインターネット利用率は60〜69歳で90.4%そして70〜79歳で69.8%さらに80歳以上でも33.1%に達しています
多くの患者さんが手元の端末から医療にアクセスできる基盤はすでに整っています
だからこそ医療機関側がどのような入り口を用意するかが問われています
医療の世界は外から見ればブラックボックスになりがちです
どのような流れで診察が進むのか費用はどうやって支払うのか患者さんにとっては見えない不安がたくさんあります
だからこそクリニックの中身や診療の流れを事前に発信し透明性を高めることには大きな価値があります
オンライン診療の仕組みを整えることはその透明性を形にする第一歩となります
医療従事者が持つ知識や経験は人を救うための宝物でありそれを求めている人がたくさんいます
オンライン診療はその宝物を距離の壁を越えて届けるための有効な手段となります
まずは患者さんが直感的に操作できる予約の入り口を整え不安なく診察を受けられる環境を準備するところから始まります
外部サービス任せにしないオンライン診療の導線設計
外部の統合システムに頼り切るのではなく自院の既存の仕組みをつなぎ合わせてオンライン診療の導線を作る内製化の考え方が重要となります
患者さんの動きを一つひとつ確認しながら最適なツールを組み合わせていきます
内製化とは自院のスタッフや運用に合わせた仕組みを自分たちで構築し改善していくことです
医療業界のシステム開発が高額なのは歴史的な常識でしたがその常識は終わりつつあります
身近なクラウドサービスや予約ツールを連携させるだけで十分に実用的な環境を作ることができます
高額な初期費用をかけなくても知恵と工夫で乗り越えられる時代になっています
厚生労働省の受療行動調査(令和5年)では病院の外来患者の79.0%が予約をしたと回答しています
オンライン診療においてもこの予約の体験をどれだけスムーズにできるかが分かれ目となります
電話や窓口での予約と同じようにオンラインでも迷わず時間を指定できる仕組みが必要です
また厚生労働省の受療行動調査(令和5年)によると病院の外来患者が経験する診察等までの待ち時間は「15分未満」27.9%そして「15分〜30分未満」24.9%さらに「30分〜1時間未満」20.6%で1時間未満が約7割を占めています
オンライン診療を活用することはこうした院内での待機時間を減らし患者さんの負担を軽減する手段にもなります
クリニックの待ち時間対策としても事前の予約とウェブ問診の連携は非常に有効です
予約が完了した直後に自動で問診票のリンクを送信し診察前に情報を集める流れを作ります
なくなっていくのは統計処理やWeb制作あるいはプログラミングといった頭がいいとされてきた領域の仕事です
AIや便利なツールがそれらを代替していく中で最後まで残るのは手術や問診そして患者さんとの会話といった人にしかできない仕事です
オンライン診療のシステム構築もツールに任せられる部分は任せ医師は診察そのものに集中する環境を作ります
導入時に決めるべき対象疾患と運用ルールの指針
オンライン診療の対象疾患や運用ルールは厚生労働省が定める適切な実施に関する指針を確認し遵守することが前提となります
そのうえで自院の体制に合わせて誰がいつ何をするかを具体的に決めていきます
オンライン診療を始めるにあたりどこから始めるか何を先に決めるかの手順を4つの項目に整理します
| 決める項目 | 誰が・いつ決めるか | 具体的な検討内容 |
|---|---|---|
| 対象患者の範囲 | 院長が導入前に決定 | 初診から受け入れるか再診の慢性疾患に限定するかを定めます |
| 予約枠の設定 | 院長と事務長が協議 | 通常の対面診療と時間を分けるか並行して行うかを決めます |
| 通話ツールの選定 | 事務長がテストして決定 | セキュリティ要件を満たすビデオ通話システムを選びます |
| 決済と処方箋の流れ | スタッフ全員で運用前に共有 | クレジットカード決済の手順と薬局へのFAX送信ルールを定めます |
最初から全部わかっている人は誰もいません
1、2、3、4と段階を踏んで少しずつ運用を広げていくからこそこれもできるという新しい発見が生まれます
まずは再診の患者さん数名からテスト運用を始め課題を洗い出しながら手順を磨いていくことをお勧めします
運用が安定してきたら対象とする疾患を広げたり初診の受け入れを検討したりと次のステップへ進むことができます
私たちの現場で運用しているオンライン診療の具体例
同一グループの診療現場では既存の予約システムとビデオ通話ツールを連携させ患者さんが迷わないオンライン診療の導線を実際に運用しています
システムの裏側ではスタッフの負担を減らすための自動化も組み込んでいます
患者さんがウェブから予約を入れると指定した日時に合わせて通話用の専用リンクが自動で発行されます
予約日の前日に案内が届く仕組みを置くことで患者さんのうっかり忘れを防ぎます
診察の時間が近づくと患者さんはリンクをクリックしてオンラインの待合室に入り医師の準備が整うのを待ちます
診察が終わった後は会計用の決済リンクをメッセージで送り支払いが完了したことを確認してから処方箋を患者さんが希望する薬局にFAXする手順としています
この一連の流れの中で予約データの集計を自動化する仕組みも同時に動かしています
どの時間帯にオンライン診療の希望が多いのかどの疾患での利用が多いのかを可視化することで次の施策を考える材料としています
データを手作業でまとめる手間を省きスタッフは患者さんの対応に集中できるようになります
AIを活用してこれらの処理を補助させることも可能ですがAIは時に嘘をつきできるのにできないと言う特性を持っています
その特性を深く理解してプロンプトを作り込み最後は必ず人が確認する運用にしています
自動化できる部分はシステムに任せつつ医療としての責任は人が担保する体制が不可欠です
私たちは診断やスクリーニングといった領域のAIは扱わずあくまで業務効率化に限定した仕組み作りを行っています
業務効率化の先にあるクリニックの新しい形
オンライン診療の導入による業務効率化は入り口にすぎずその先にはクリニックの働き方や情報発信の形が大きく変わる未来があります
空いた時間を活用してさらに多くの患者さんに医療の知見を届けることができます
今は喋るだけで文章になる時代です
音声入力した内容をAIが適切な文章に整形してくれるため文章を書くのが苦手な人でも簡単に発信できるようになりました
オンライン診療でよく聞かれる質問や患者さんがつまずきやすいポイントをまとめてコラムとして発信することも容易です
日々の診療で気づいたことを言葉にして残すことでそれが次に受診する患者さんの不安を取り除く助けになります
発信の形は自由に選ぶことができます
電子書籍としての出版や動画のコース教材あるいは独自のアプリやWebサイトなど様々な媒体を通じて医療情報を届けることが可能です
こんなこともできるんだという発見の先に仕事のやりがいも私生活のゆとりも変わっていきます
業務を効率化して生まれた時間を自分たちの成長や新しい挑戦に使うことができます
現在私たちのサイトでは診療現場と自分たちの事業で動いている仕組みが19件掲載されています
これらはすべて自分たちで手を動かして作り運用を続けているものです
もし自院の運用に合わせた具体的なシステムの相談をご希望の場合は初回のご相談はオンラインで60分お時間をいただき外注費と業務の棚卸しから始めています
ご自身のクリニックでどのような仕組みが作れるのかその院で何ができるかを一緒に考えていきましょう
よくある質問
- オンライン診療を導入するには何から始めればよいですか
- まずは厚生労働省の指針を確認し対象とする疾患と患者さんを院内で決めることから始めます
そのうえで予約から通話そして会計までの導線を既存のツールでどうつなぐかを設計します
最初は再診の患者さんに限定して小さくテスト運用を始めるのがスムーズです - 高齢の患者さんでもオンライン診療のツールを使えますか
- 総務省の調査では高齢層でもインターネット利用率は年々上昇しておりサポートがあれば十分に活用可能です
家族のスマートフォンを使ってもらう運用や事前に接続テストを行う窓口を設けるなどの工夫をします
直感的に操作できるシンプルな画面設計を選ぶことも大切です - オンライン診療のシステムは高額なパッケージが必要ですか
- 必ずしも高額な専用システムを導入する必要はありません
既存のウェブ予約システムや汎用的なビデオ通話ツールそしてオンライン決済サービスを組み合わせることで実用的な環境を作れます
自院の運用に合わせて必要な機能だけを内製化するアプローチをお勧めします


