薬剤師の情報発信|健康相談アプリ・コンテンツという道
窓口で毎日答えている質問こそ、薬剤師のコンテンツになる
薬剤師の情報発信というと、特別なネタ探しが要ると思われがちです
けれど結論はその逆で、素材はすでに手の中にあります
「この薬は食後じゃないとだめですか」「飲み忘れたらどうすれば」「市販薬と一緒に飲んでいいですか」──窓口で毎日繰り返し答えている質問こそが、コンテンツの原石です
同じ質問が毎日来るということは、同じ疑問を持つ人が全国にいるということです
医療の世界は外から見ればブラックボックスで、薬のことは特に、調べても正確な情報にたどり着きにくい領域です
薬剤師が窓口で当たり前に話している知識は、人を救うための宝物であり、それを求めている人は目の前の患者さんだけではありません
その知識を、健康相談の入り口になるWebコンテンツやアプリの形に整えていく──押し売りではなく、「そういう道もある」という選択肢として、この記事で流れを整理します
窓口で一人に伝えて終わる知識と、形にして残る知識では、届く範囲がまったく違ってきます
薬剤師の知識をアプリ・Webコンテンツの形にする
形にする先は、大きく分けて次のようなものがあります
どれもいまは、プログラミングの専門教育を受けていない人でも、AIの助けを借りて着手できる領域になりました
- よくある質問と答えを整理したWebページや連載記事
- お薬の一般的な知識を調べられる患者さん向けアプリ
- 飲み忘れを防ぐ工夫や保管の知恵をまとめた電子書籍
- 介護者向けなど、読者を絞ったコース教材
どの形を選ぶにしても、出発点は「窓口で何度も繰り返してきた説明」であることに変わりはありません
毎日の仕事の中に素材が積み上がっている、という点が薬剤師の発信の強みです
かつてWeb制作やアプリ開発は、外注すれば大きな費用がかかってきた領域です
医療業界のシステムが高額なのは「歴史的な常識」でしたが、その常識は終わりつつあります
なくなっていくのは実は「頭がいい」とされてきた領域の作業──プログラミングや統計処理──の方で、残るのは服薬指導や患者さんとの会話といった、人にしかできない仕事です
だからこそ、人にしかできない知識の部分を持つ薬剤師に、発信の追い風が吹いています
薬機法・広告規制への配慮──一般論に徹する
薬剤師の発信で最初に決めるべきは、書かないことの線引きです
医薬品の情報は薬機法や広告規制と隣り合わせであり、ここの設計を誤ると発信そのものが続けられなくなります
| 踏み込まない領域 | 徹する領域 |
|---|---|
| 特定商品の効能効果をうたう表現 | 成分や剤形についての一般的な解説 |
| 個別の症状への診断的な回答 | 受診や相談の目安という一般的な考え方 |
| 効果の保証や体験談による誘引 | 公的機関の公表資料に沿った知識の整理 |
個別の効能効果を謳わず、一般的な知識の整理に徹する──この原則を最初にコンテンツの設計へ組み込んでおけば、迷いは大きく減ります
たとえば「この薬が効く」ではなく「解熱鎮痛成分にはこうした種類があり、選ぶときはこんな点を薬剤師に相談してほしい」という書き方です
線を引いたうえでも書けることは十分に広く、むしろ規制を知っている専門職だからこそ安心して読める内容になります
考え方は医療機関の発信と共通する部分が多く、医療広告ガイドラインとAIの記事も参考になるはずです
AIで組み立てる手順──話して、整えて、確かめる
作り方の基本は三段階です
書くのが得意である必要はありません
- 窓口でよく受ける質問と、いつもの答えを音声入力で話して録る
- 文字起こしをAIに渡し、質問ごとの記事やアプリの画面構成に整形させる
- 出てきた下書きを薬剤師の目で確認し、不正確な部分を直す
素材づくりは、休憩時間や帰り道の数分でも進みます
「今日はこの質問が多かった」と気づいた日に、その場で話して録っておく──この小さな習慣が、あとから見ればコンテンツの在庫になっていきます
書くのが苦手な人ほど、喋るだけで文章になるこのやり方の恩恵は大きいはずです
三段階目が最も重要です
AIは時に嘘をつき、できることを「できない」と言い、存在しない情報をそれらしく書くことがあります
特性を理解して作り込み、最後は必ず人が確認する──医薬品の情報なら、この確認こそが薬剤師の専門性の見せ場です
最初から全部わかっている人はいません
まず一本の記事、次に十本、それからアプリ──段階を踏むほど「これもできる」が広がります
AIに触れること自体が初めての方はAI導入の最初の一歩の記事から、形にする作業を専門家と進めたい方は私たちの支援内容をご覧ください
よくある質問
- 薬剤師が情報発信するとき薬機法で気をつけることは何ですか
- 特定商品の効能効果をうたわないこと、個別の症状への診断的な回答をしないことが基本です
一般的な知識の整理に徹し、判断に迷う表現は公的機関の公表資料に沿っているかで確かめる姿勢が安全です - プログラミングができなくても薬剤師がアプリを作れますか
- AIに設計や実装の大部分を任せる作り方なら、着手できます
薬剤師の役割は中身の知識の正確さを保証することで、そこはAIには任せられない部分です
ただしAIの出力には誤りが混ざるため、公開前の確認は必ず人が行ってください - 薬剤師の副業として発信を始める前に何を確認すべきですか
- 勤務先の就業規則で副業や発信の扱いを確認することと、患者さんの情報を素材に使わない線引きを決めることの二つが先です
実在の相談内容は一般化してから扱います


