クリニックのホームページを内製し更新を自走する手順
クリニックのホームページを内製し直したいときに自分たちで更新する体制をつくるには院内で完結させる部分と外部に任せる部分の線引きを最初に行うことが重要です
制作会社に依頼するたびに発生する待ち時間をなくし現場の状況をリアルタイムに伝えるためには誰がいつどのツールを使って作業するかというルールづくりが欠かせません
この記事では当社の診療現場で実際に運用している経験をもとに自院でホームページを管理し情報発信を自走するための具体的な手順と判断基準をお伝えします
クリニックのホームページを内製するメリットと課題
ホームページを自分たちで管理する最大のメリットは現場の変化に合わせて情報をすぐに発信できることです
内製化とはホームページの作成や運用を外部の制作会社に依存せず院内のスタッフで実行することを指します
これまで医療業界のシステム開発やWeb制作は外注するのが歴史的な常識でした
少し直すだけでも見積もりを取り担当者とやり取りをしてから反映されるまでに何日も待つのが当たり前とされてきました
しかしその常識は終わりつつあり専門的なプログラミング知識がなくてもサイトを構築し更新できるツールが広く普及しています
グループで都内にクリニックを開いてから5年が経過しました
コロナの緊急事態宣言の最中に開業した私たちの現場でも当初は制作会社に依頼していましたが更新のたびに時間がかかることに課題を感じていました
刻々と変わる感染対策のルールやワクチンの在庫状況をすぐに伝えたくても自分たちで触れないもどかしさがありました
厚生労働省の受療行動調査(令和5年)によると病院の外来患者のうち「医療機関が発信するインターネットの情報」を入手先にした人は28.8%にのぼります
さらに「特に情報は入手していない」と答えた人は外来で16.3%にとどまっています
多くの患者さんが来院前に何らかの情報を調べておりその受け皿となる公式ホームページの役割は極めて大きくなっています
総務省の通信利用動向調査(令和6年8月末)でも全国のインターネット利用者の利用目的は「検索サービスの利用」79.4%「電子メールの送受信」78.6%「ホームページやブログの閲覧」57.4%となっています
日常的にWebサイトから情報を得ている患者さんに対してクリニックの情報を常に最新に保つ必要があります
一方で課題となるのは誰がどのタイミングで更新作業を行うかという体制づくりです
専任の担当者を置くのが難しい診療現場では業務の合間に作業できる仕組みとルールをあらかじめ決めておく必要があります
ホームページ更新を自作する部分と外注する部分の線引き
すべてを院内で作ろうとするのではなく日常的な更新と専門的な基盤構築を分けることが成功の鍵です
この記事で挙げる判断の分かれ目は2つあります
1つ目はセキュリティやサーバー保守などの裏側の仕組みです
2つ目は日常的なお知らせや診療案内のテキスト変更です
前者のような専門的な知識が求められる部分は外部の専門家に任せ後者のような情報発信を自作するという切り分けが現実的です
以下に院内で対応しやすい領域と外部に任せるべき領域の比較表をまとめます
| 領域 | 適する打ち手 | 誰が担当するか |
|---|---|---|
| 日常的なお知らせ(休診・ワクチン案内) | ブラウザ上で編集できるシステムを用いた更新 | 受付スタッフ・事務長 |
| 新しい診療メニューの案内ページ追加 | 既存のテンプレートを複製してテキストと画像を差し替え | 院長・事務長 |
| サーバーの保守・セキュリティ対策 | 専門業者への委託または保守サポート付きサービスの利用 | 外部パートナー |
| 大幅なデザインリニューアル | デザイン会社や制作会社へのプロジェクト依頼 | 外部パートナー |
医療の世界は外から見ればブラックボックスになりがちです
専門用語が多くどのような診療が行われているのか患者さんからは見えにくい部分があります
だからこそ現場で働くスタッフが中身を発信する価値があります
医療従事者の知識は人を救うための宝物であり求めている人がたくさんいます
院内で更新できる体制を整えることで現場のリアルな声をそのまま患者さんに届ける環境が整います
ホームページの内製化に向けた第一歩を踏み出すことで情報発信のスピードは大きく変わります
外部に依頼するたびに発生していた確認の手間がなくなり思い立ったその日に情報を公開できる強みがあります
クリニックのホームページ内製化を進める手順
ホームページの運用を自分たちの手に取り戻すにはツールの選定から始まり段階を踏んで権限を移行していく手順が必要です
最初から全部わかっている人はいません
1、2、3、4と段階を踏むから「これもできる」という運用が広がっていきます
私たちが同一グループの診療現場で実際に運用している経験をもとに着手手順を4つのステップで示します
- 更新しやすい基盤を選ぶ
専門知識がなくても文字や画像をブラウザ上で変更できるシステムを導入します - 更新のルールを決める
誰が原稿を書き誰が最終確認をしていつ公開するかというワークフローを定めます - 既存のページを修正してみる
まずは休診案内や診療時間の変更など小さな更新から始めて操作に慣れます - 新しいページを作ってみる
テンプレートを活用して新しい案内ページを自分たちで追加します
当社の作業記録(2026年8月時点)によると告知用のLPを1日で作る体制が定着しています
外注に出していた頃は待っていた作業を院内で完結する手順を整えました
告知や案内のLPは院内で20本以上つくってきた実績があります
新しい機材の導入や季節の疾患に関する案内など1本目に時間がかかり2本目からは速くなるという実感を持っています
また初診の同意書はブラウザで編集できる箇所が117箇所ありA4で3枚(6面)に印刷する形にしました
文面の変更を院内スタッフが自分で行い版を管理する運用が回っています
当社の実績整理(2026年8月時点)からも現場のスタッフがシステムを触って改善できる状態が理想的だと考えています
こうした取り組みの詳細はクリニック向けホームページ制作・内製化支援のページでも紹介しています
自分たちで手を動かすことで「ここをもっと分かりやすくしよう」という現場発のアイデアが形になりやすくなります
自院で作る体制を支えるAIの活用と業務効率化の先
ホームページの文章作成や情報整理にAIを活用することで発信のハードルを大きく下げることができます
厚生労働省の受療行動調査(令和5年)では病院の外来患者の診察時間は「5分〜10分未満」が40.9%で最多であり「5分未満」が28.5%を占めています
限られた診察時間の中ですべてを説明するのは困難です
だからこそ事前にホームページで詳しい情報を伝えておくことの重要性が増しています
患者さん向けの説明マニュアルが10〜15分で形になるのが今の技術です
情報を先に渡しておけば下書きまで出てくるため当社の作業記録(2026年8月時点)でも文章作成の負担が大幅に減っています
喋るだけで文章になる時代であり音声入力からAIが整形してくれます
文章を書くのが苦手なスタッフでも現場の知識を発信できるようになりました
ただしAIは時に嘘をつきできるのに「できない」と言うことがあります
特性を理解して作り込み最後は人が確認するプロセスが欠かせません
必ず人が確認するというルールを設けることで安全な情報発信が維持できます
医療現場におけるAIの活用は単なる作業の代替にとどまりません
なくなっていくのは統計処理やWeb制作プログラミングといった「頭がいい」とされてきた領域の仕事です
残るのは手術や問診そして患者さんとの会話といった人にしかできない仕事です
業務効率化は入り口にすぎず「こんなこともできるんだ」という発見の先に仕事も私生活も変わる体験が待っています
発信の形は選べる時代でありWebサイトだけでなく本やKindle出版コース教材アプリなど様々な形に展開していくことも視野に入ります
医師が自身の知見を発信する意義にもつながる大きな変化です
まずは自分たちでホームページのテキストを直し患者さんに必要な情報を届けるところから始めてみてはいかがでしょうか
よくある質問
- ホームページの更新を内製化するには何から始めればよいですか
- まずは休診のお知らせや診療時間の変更などテキストの修正から始めることをお勧めします
日常的な更新を院内で担当しサーバー保守やデザイン改修は外部に任せるという線引きを最初に行うことが重要です
段階を踏んで慣れていくことで運用できる範囲が広がります - 専門知識がないスタッフでもホームページを自作できますか
- 専門的なプログラミング知識がなくてもブラウザ上で文字や画像を編集できるシステムを導入すれば対応可能です
当社の診療現場でも受付スタッフや事務長が日常的な更新を担当しています
AIの音声入力などを活用すれば文章作成のハードルも下がります - 制作会社に依頼していた部分を自分たちで引き継ぐことは可能ですか
- 契約内容や使用しているシステムによって異なりますがコンテンツの管理権限を院内に移すことは多くの場合可能です
裏側の保守は引き続き依頼しつつ表側のテキストや画像の更新権限だけをもらう形から交渉してみるのが現実的です
まずは現状の契約とシステムを確認するところから始めます


